中原 徹
初段(岐阜 太田道場)2011年5月29日取得
この度は、昇段審査をお許しいただき、誠にありがとうございました。また、これまでご指導いただいた太田先生、先輩の皆様に感謝申し上げます。
自分が太田道場に入門した動機は、二つありました。空手を始める前の五年程は、これといって打ち込めるものもなく単調な日々を過ごしており、このままでは年老いてから必ず悔いが残る、これからの五十代そしてその先の人生を充実したいという思いがありました。もう一つは、世の中の現状を見た時、自分自身や周りをどう守っていくのかと考えさせられ、強い精神と身体を持ちたいと思ったからでした。
そんなことを考えていた時、太田道場を知りました。
武術は十年以上修行しなければものにならない、今始めなければ体力的に修行を続けられなくなる。そう思うと居てもたってもいられず、道場を訪ねました。極真空手の名前は、学生の頃から雑誌等で知っていました。今の自分が厳しい稽古についていけるか不安もありましたが、ライオンの檻に飛び込む覚悟で入門させていただきました。それが四十九歳の時でした。
自分には自閉症という障害のある一人息子がいます。息子には障害ゆえの「生きにくさ」がありますが、本人なりの生き方を模索しながら成長をしてきました。自分が父親として息子に誇れるものがあるのか、武術を極めるとは三十年四十年の歳月をかけ、自分の人生をかけて打ち込んでこそ到達できる境地です。自分は到底たどりつくことはできませんが、一歩でも近づくことができるように修行をし、これからでも父親として一人の人間として成長をしていきたいという思いを強くしてのことでした。
入門した頃は、是が非でも三年は続けよう、三年続いたら五年頑張ろうと思っていました。そして次の目標は、十年続けることなのです。
入門して、稽古をしている中で気付いたことは、先輩方が真摯に空手に取り組んでいることでした。稽古では手を抜かず汗だくになっている姿、コツコツと自主トレーニングをしたり、くじけそうになる気持ちに負けず上級の試合に出る先輩方をみると自分も頑張らなければと奮起させられました。そんな先輩方と稽古ができることは本当に幸せなことです。
十年それ以上修行をしている先輩方の前で、修行年数の少ない自分が昇段審査を受けさせていただくことは、恥ずかしい内容では先輩方に対し申し訳がない、みっともないところは見せられないという気持ちで審査に臨みました。しかし、十人組手では十人を相手にまともに突き蹴りをもらわないようにと思うあまり、受けることで精一杯で満足な攻撃ができず不甲斐ない状態だったと反省しています。
今回審査を受けるにあたり、アドバイスをくださった先輩の皆様、ありがとうございました。励ましのことば、応援をしてくださった皆様、ありがとうございました。組手の相手をしてくださった皆様、ありがとうございました。
そして、審査の機会を与えてくださった太田先生、本当にありがとうございました。今後も、益々空手道に精進いたします。
押忍