谷澤 薫
初段(静岡南道場)2013年3月3日取得

このたび、平成25年3月3日の国際空手道連盟極真会館世界総極真の「公認昇段審査会」を受審させて頂けたことを、大石代悟最高師範に御礼申し上げます。また、審査前に本部道場に伺い、直接稽古を就けて頂き、ありがとうございました。柴田自由師範におかれましては、入門時より今日に至るまでご指導頂き、ありがとうございました。そして、橘先生、橋本先輩、他諸先輩方、道場生皆、保護者方々におかれましても、御指導・応援ありがとうございました。

自分が「極真カラテ」の道場に入門したのは、8年前の48才の4月です。柴田自由師範が責任者を務める「静岡南道場」に入門して「極真カラテ」を始めました。

入門のきっかけは、自分は子供が小学校・中学校の時にPTA役員をさせて頂いており、自由師範も小学校のPTA役員でした、そこで自由師範と顔見知りとなり、何年かして自分の子供が中学校を卒業して自分がPTAから開放されて仕事後の時間が空いたので自由師範におじさんでも「カラテ」ができますか?と聞きましたところ、「大丈夫です、充分出来ます」との返事が返ってきまして、それならと直ぐに入門致しました。しかし、あまりに簡単に「大丈夫・・・」と仰ったので勢いで入門致しましたが、実際は大変不安でした。それは、自分が子供のころは「極真カラテ」と言えば「虎の穴」のイメージが強く、入門しても厳しい稽古で篩にかけられ一人また一人と脱落していき最後に一人の最強の人間がのこる、といった過酷な世界と思っておりましたので、ダラダラと歳を重ねたおじさんには随分キツイのではと心配でした。

案の定、入門して初日、準備運動・基本稽古の段階でヘタリ、移動稽古の時には、汚い話「ゲロ吐きそう」でした。しかしそれも、5~6回程稽古を重ねると、体はキツイくても何とか持つ様に成りました。もし、これから「極真カラテ」を始める方でこのレポートをお読みの方が居られましたら、師範・先生方の「簡単だ・キツク無い・・」は全くの嘘ですから騙されない様にしましょう。しかし、このキツイ稽古こそが極真の真髄であり基本、全てでは無いかと自分は考えます。

自分が最初に感じた「キツイ」は、いま思えば、幼年部・少年部・一般部どのレベルの稽古でも当り前に行っている、始まりの稽古です、いわゆる稽古前の稽古です。勿論、大変大事で一番基本となる稽古ですが、これは体慣らしで次の稽古のための準備です、この段階で「ゲロ吐きそう」だった自分が何時の間にかキツイながらもキチント出来、次の稽古に入っていける様になりました。ですから、キツク無い稽古は有りませんが、それに耐えきれる体に変化出来ることは確かです。自分は有る意味騙されましたが、これを踏まえて皆さん入門致しましょう。

ところで「公認昇段審査会」がメインでした。

審査会については、自由師範より受審の2年前に次の次の公認審査を目指して稽古に励む様、下知を頂きました。2年は長い様で短く、また長いので自分で小さな目標を設けて取組んで下さいと御指示頂きました。その日から、柔軟性・基本・型・補強・組手の稽古に向け自分なりに計画を立て取組出しました。

最初の1年は、色々なことを少しづつ一度にやりあっという間に過ぎました。欲張り過ぎて、結局イライラして時間を費やしました。最後の1年は、普段の稽古も意識して少し自分に負荷を掛け、稽古後に「基本動作・拳立」と「拳立・型」の2パターンを交互に内様も少しづつ負荷を増やしていき、土・日曜日の仕事の無い時には、「基本・拳立・型」と「基本・補強・サンドバッグ」の2パターンを交互に繰り返し行いました。もちろん全ての最初と最後は柔軟運動は行います。最初のころは、これに加えランニング出来る時は走りましたが、花粉症の季節になり症状が出始めたころからは、ランニングは中止しました。また、12月8日土曜日より長澤師範の本通道場の方々に同行して沼津本部道場にて稽古に参加させて頂き、大石代悟最高師範より直接指導を頂き大変緊張した有意義な稽古を致しました。

最高師範の稽古は、本部道場の生徒方々は何時通りの稽古でしょうが自分は、直接に最高師範の稽古とあり半端無い緊張で変な汗が出ました。しかし、稽古を重ねる内に普通のおじさんの汗に変わりました。最高師範の稽古は、厳しいところは大変厳しいですが、道場生全てを見据え、気配りした素晴らしい稽古でした。稽古中の拳立100回の補強時、1~50回までは声が遠くで聞こえてましたが、50~100回の号令が随分近く聞こえ自分の直ぐ前に最高師範が座って号令を掛けていた時は、非常に驚きました。2月に本通道場の方々と本部道場の稽古に行く最後の稽古後に最高師範にレストランにて夕食を御馳走になり、12時過ぎまで話が弾んだことは一生忘れられません、楽しく・気さくな優しい最高師範と過ごした時間は自分の宝です、ありがとうございました。

また、御一緒させて頂いた、本通道場の皆様、ありがとうございました。

公認審査の1カ月前、2週間前、1週間前、前日と緊張が高まり、心が押し潰されそうになりました。当日は、腹を括り出来ることをするだけと割切り審査に臨みました。

準備運動・基本動作ですでにヘロヘロに近い状態でした。型までに少し時間があり助かりました、息を整え型に臨みます。2箇所、間違えましたが、うろたえずやり切りました。汗はピークを迎えぽたぽた袖から落ち鼻水が・・・。補強は、2セット目までは、まずまずでしたが3セット目以降は、大変辛く苦しかったですが、拳立前後に膝を突かないで出来ました。10人組手は、1人目、2人目で辛く、3人目でこんな筈ではと、4人目以降は記憶が定かでは有りませんでしたが、自由師範・橘先生・道場生の声は常に耳に響いておりました。最後の10人目に橋本先輩が来てくれて一方的に攻められましたが、さっぱり致しました。

世間では、「生みの辛さ」と申しますが、自由師範より下知を頂き2年間目標を刻み、稽古に励み、審査前後及び当日の大緊張、本部稽古、等全て良い経験をさせて頂きました。普通の生活ではありえない、「極真カラテ」をしていても、この審査会を経験しないと分からないことです。大変苦しかったけど、達成感のある今の自分は、審査前と何一つ変わっていないけど、このスッキリした清々しさを心に刻み込みます。

この経験を活かし今後、更に稽古に精励し後輩の指導に努めます。

押忍